遺留品も新施設に JR西日本、宝塚線脱線事故の遺族らに説明

鈴木智之
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 乗客ら107人が死亡、562人が負傷した2005年4月のJR宝塚線(福知山線)脱線事故を受け、JR西日本は6日、遺族や負傷者らを対象にした説明会を兵庫県伊丹市などで開いた。事故車両を保存する予定の新施設(大阪府吹田市)で約1100点あるという遺留品も保管する方針などが示された。説明会は7日も開かれる。

 新施設の完成は2024年秋の予定で、JR西は損傷が激しく復元の難しい1~4両目は部品ごとに整理して棚に展示し、状態が保たれている5~7両目は連ねて保存する計画であることを説明した。さらに、靴や衣服など持ち主のわからない遺留品についても新施設で保管する計画も明らかにした。施設内には移動式の献花・焼香台や、車両全体を見渡せる高さ3、4メートルのデッキを設ける。

 コロナ禍の影響で中止されてきた4月25日の追悼慰霊式は、22年に3年ぶりに開く方向で検討しているという。

 長谷川一明社長は説明会後の会見で「車両とともに遺留品も悲惨さを直接物語るもの。可能な限り大切に保存する」と述べた。施設は社員研修に使うほか、遺族らに公開する予定で、一般公開や、事故現場での車両保管については「引き続き検討課題とさせていただく」とした。

 説明会には82人の被害者が出席した。事故で弟を亡くした埼玉県の60代の男性は「遺留品は丁寧に扱い、遺族の希望に合わせて一般公開してほしい」。負傷者の小椋聡さん(52)=兵庫県多可町=は「部品を棚に入れると倉庫のようになるのではないか。JRは丁寧に意見を聞きながら進めてほしい」と話した。(鈴木智之)

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