スマホタッチでバス乗車 徳島バスなど運賃決済の実証実験中

福家司
[PR]

 スマートフォンをタッチするだけで路線バスの運賃が決済されるサービスをはじめとする、「くるくるなると デジタル周遊チケット」の実証実験が徳島県鳴門市を中心とするエリアで始まっている。スマホを活用したJRと路線バス共通のフリー乗車券や観光施設のチケットもある。いずれも来年1月末まで。

 複数の交通手段を一括して予約・決済する「MaaS(マース)」の実証実験で、昨年の愛媛県・南予地方に続いて四国で2カ所目となる。今回は観光庁の認定を受けた事業で、KDDIやJR四国、徳島バスなど7団体が協力する。

 バスのスマホタッチでの支払いは、徳島バスの鳴門郵便局前―鳴門公園間の路線で実施。あらかじめクレジットカードによる決済方法を登録したスマホを乗車、降車時に車内のプレートにかざすだけで、全球測位衛星システム(GNSS)によって乗降したバス停の位置が特定され、運賃が自動的に計算、決済される。KDDIが国内で初めて開発した。

 徳島バスは、四国の県庁所在都市の主要路線バス会社では唯一、ICカード乗車券を使えず、ICカードが普及した関西や関東方面の観光客からは不便という声も多いという。

 徳島バス企画課の林直人課長は、「ICカードの導入は経費がかかるため、これまで導入は高い壁となっていた」としたうえで、「先進的なスマホタッチ支払いが活用できれば、遅れたキャッシュレス化を一気に取り戻せる可能性もある」と期待を示す。

 KDDIの担当者は、スマホタッチ支払いについて「停留所間の距離が短い路線バスの位置を特定し、区間ごとの運賃を確定するには、これまでより高精度の位置測位が必要となる。それでもICカードより導入、更新などのコストは小さく、地方の交通機関にはメリットがあるのではないか」と話す。

 実証実験では、JR徳島―鳴門間の普通列車と徳島バス、徳島市営バスの全線に2日間、自由に乗り降りできる「JR・徳島バス フリーパス」(大人2千円)も発売。観潮船や大塚国際美術館、ドイツ館など鳴門市内の11施設が対象の「なると観光チケット」も加わる。いずれもデジタル周遊チケットの専用サイトで購入でき、スマホのチケット画面を見せるだけで利用できる。決済はスマホの決済サービスやクレジットカードでできる。(福家司)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません