逆風下の自民、2選挙区で苦杯 知事を警戒

2021衆院選

植松敬 玉木祥子 黒田壮吉
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 静岡3区と8区で川勝平太知事が応援した立憲民主党の候補に苦杯をなめた自民党。ただ、リニア中央新幹線の水問題が最も絡む2区では自民候補が自己最多得票で圧勝し、野党の「牙城(がじょう)」だった6区でも初めて議席を奪った。比例復活も含め改選前の8議席を維持し、底力を見せつけた。

 衆院選開票から一夜明けた1日、自民党県連の野崎正蔵幹事長は「衆院選はすべて勝ち抜いたわけではないが、当初掲げた8人の当選(比例復活を含め)を果たせた。この結果はよかったと感じている」と安堵(あんど)した表情を浮かべた。

 ただ、逆風を感じた選挙だった。6月の知事選で推薦候補が川勝知事に33万票差で完敗。衆院選の前哨戦として全国的な注目を集めた参院静岡選挙区補欠選挙でも、川勝知事が支援した野党系候補に敗れた。就任直後の岸田文雄首相が2度応援入りしての敗北で、「静岡ショック」などと騒がれた。

 県連にとって、全県選挙2連敗で迎えた衆院選。この選挙でも川勝知事がリニア問題をめぐり、野党候補を支援した。演説では岸田政権はリニア推進派として、「自民候補が水を守ると言っても、党内ではかき消される」などと自民党を批判した。

 3区と8区の小選挙区での落選について、野崎幹事長は「3、8区は翻弄(ほんろう)された。特に8区は参院選と絡めて大変苦戦しているという報道が流れたのも一つの要因になっていると思う」と語った。一方で「偏った争点にしようとした動きがあった」と川勝知事を牽制(けんせい)することも忘れなかった。

 川勝知事と自民のあつれきは根深い。自民は知事の政治姿勢を批判し、知事選のたびにぶつかってきた。いままで国政選挙などに関わってこなかった知事が今回、二つの選挙に肩入れしたことで、今後の県内の選挙情勢への影響を警戒する声もある。知事からは最近、「地域政党」といった言葉も聞かれ、県連幹部は「県民党などと言っていたが、本当につくるのか」といぶかしむ。

 来夏には参院選が控えている。参院補選で勝利した立憲と国民民主党推薦の無所属候補の所属政党はまだ決まっていない。2019年の静岡選挙区(改選数2)では、立憲と国民民主党がそれぞれ候補者を立て、野党対決が注目された。ある野党幹部はこう話す。「衆院選では野党共闘に一定の成果はあったが、課題も残った。知事も含め、これから動きが混沌(こんとん)としていくかもしれない」(植松敬、玉木祥子、黒田壮吉)

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