映画「日高線と生きる」、劇場公開始まる

西川祥一
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 【北海道】4月1日に廃線になったJR日高線の鵡川―様似間(116キロ)をテーマにしたドキュメンタリー映画「日高線と生きる」の劇場公開が札幌市苫小牧市、浦河町で始まった。存続を求めながらも、廃線を受け入れていく沿線町長の葛藤や住民の生活を描き、公共交通のあり方を問いかける内容になっている。

 日高線は1927年、王子製紙の鉄道を国有化して、37年に苫小牧―様似間が開通。2015年1月の高波被害で鵡川―様似間が不通になった。復旧されることなく廃線となり、バス転換となった。

 映画では復旧を求めながらも高額な負担金に悩み廃線容認に傾いていった沿線の7人の町長や、沿線に住む昆布漁師、イチゴ農家、高校生らの思いを描いた。

 稲塚秀孝監督(71)は「ヒロシマ ナガサキ 最後の二重被爆者」など社会派の作品で知られる。苫小牧市出身で、高校時代に通学で利用していたという。「道内ばかりでなく、全国的に廃線の議論が広がっている。採算性だけでは判断できない公共交通のあり方を考えてほしい」と話す。

 上映が始まった映画館は札幌は「サツゲキ」、苫小牧は「シネマ・トーラス」、浦河は「大黒座」。今後、全国約20のミニシアターでも上映する予定だ。

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