運行再開までの時間差はなぜ? 鉄道各社、地震で一斉に運転見合わせ

小川崇 磯部征紀
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 7日夜に起きた最大震度5強の地震の影響で、首都圏の鉄道は一時、一斉に運転を見合わせた。ただ、鉄道各社の運行再開時間には、局所ごとの地震の規模や点検区間の差などで開きが生じた。

 JR東日本によると、在来線16路線では、沿線に設置された地震計の数値などをもとに指令が無線で緊急停止を指示し、運転士の判断で列車を止めた。速度を落として運転を再開するケースもあるが、今回の地震は現場点検を必要とする社の基準に達していたという。

 そのため、各路線の変電所や線路などの施設を職員が見て回った。山手線は地震発生から約1時間半後、埼京線は約3時間後に全線で運転を再開。一方、常磐線や京葉線は翌8日朝、湘南新宿ラインは午後2時に全線で再開となった。同社は「路線の長さや形状、点検の人員数など様々な要因がありうる」と説明する。

 東京メトロは、午後11時ごろまでには7路線で順次運転を再開した。日比谷線や東西線では、震度5強を観測した足立区などが入る一部区間で、現場での安全確認を実施。全線再開は午前1時前にずれ込んだ。

 一方、京王電鉄は、発生から約7分後に京王線などの運転を再開した。運転士が、線路確認ですぐに止まれるように速度を落として運行し、約3時間後に通常運転に切り替わった。

 国土交通省によると、鉄道会社は路線の沿線に設置された地震計の数値に基づき、地震が起きた際の運転停止を判断する。各社が線路の形状や地盤の固さ、崖などを通っていないかなどの立地条件を鑑み、停止の基準を決めている。

 また運転再開についても、倒木がないかなど線路の状況を安全確認して再開する。担当者が線路を歩いて確認するのが一般的だ。

 このため路線の距離が長ければ点検に時間がかかるうえ、点検に携わる要員配置や立地状況にも左右される。国交省は鉄道会社や路線によって運転再開の時間に差がでたのも、こうした要因が影響しているとみる。(小川崇、磯部征紀)

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