「採れたての鮮魚や野菜、新幹線が運びます」 JR東、事業化に本腰
JR東日本は5日、新幹線で鮮魚や果物を運ぶビジネスを本格化させると発表した。販売先や運行数を徐々に増やし、3~5年後をめどに100億円規模の売り上げを目指す。新型コロナ禍が長引き、旅客の回復が見込めない中でも、収益源を広げていくねらいだ。
新幹線を使った物流サービスの名前は「はこビュン」。早朝採れたばかりの野菜や鮮魚、医薬品といった、素早く輸送できれば高い価値がつく商品を地方都市から首都圏に運ぶ。2017年から野菜や果物で実験的に始め、鮮魚の定期輸送などにも広げてきた。
首都圏のスーパーなど、駅以外にも販路を広げるめどが立ってきたため、本格化を決めた。取引が増えれば、荷下ろしがしやすい車両の導入なども検討する。JR九州とJR西日本も、九州・山陽新幹線を使って鮮魚や野菜を運ぶ実証実験を始めている。
JR東はこの日、東北・北陸・上越新幹線の8号車を11月22日から「オフィス車両」にすることも発表した。利用料金や内装は他の普通車両と同じだが、ウェブ会議や電話が座席でできるようにする。東北新幹線で実証実験をして、一定の需要が見込めると判断した。
深沢祐二社長は記者会見で「テレワークを含めた新しい働き方が定着している。(旅客は)元に戻らないという前提でさまざまな施策を考えていかなければいけない」と述べた。