苦境の銚子電鉄、電力事業へ参入 「電車走らせるため電気買って」

大久保泰
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 コロナ禍で経営悪化が続く千葉県銚子市銚子電鉄が銚子電力と連携し、「銚子電鉄でんき」として10月1日から電力の販売を始める。銚子電鉄にとっては、約1万件の加入があれば1年間の電車運行電気代を確保できるといい、「電車を走らせるために電気を買ってください」と呼びかけている。

 銚子電力は、銚子市が民間と共同で設立した電力小売会社で、市内にある風力と太陽光の発電設備でつくられた電気を買い取るなどして、市施設などへ小売りしている。2019年からは、電気料金の1%が銚子電鉄に寄付される「銚子電鉄プラン」を売り出すなど支援をしてきた。今回の「銚子電鉄でんき」は共同でつくり上げたという。

 家庭向け、小規模事業者向けは基本料金が0円。3人家族の場合、東京電力を使用した場合に比べ年間で約1万6千円お得になるプランもある。沖縄と一部の離島を除く全国のどの地域でも加入できる。

 銚子電鉄が電力販売に乗り出したのは、コロナ禍での利用者の大幅な減少が大きい。20年度の輸送人員は27万2114人で前年度の23%減。今年度も緊急事態宣言が出て、利用者の低迷が続いている。

 このため、経営改善につなげるため電力事業への参入を決めた。銚子電鉄によると、電気代が月6千円の利用者が1件加入し1年間使うとすると、銚子―外川間(片道6・4キロ)を1往復分を走らせる電気代分が銚子電鉄の利益になる。約1万件の加入で1年間の電車運行電気代を確保できるという。

 銚子電鉄でんきに加入すれば、特典として、新たなデザインをほどこした「特別弧廻(こまわり)手形(1日乗車券、700円)」を毎年1回プレゼントされるという。竹本勝紀社長は「電気代を稼がないといけないので、ぜひ電気を買ってください」と呼びかけている。

 問い合わせは、銚子電鉄(050・6878・7862)へ。(大久保泰)

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