荒川氾濫ならJR東11路線に影響 気温上昇で被害額40億円増に

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小川崇
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 気候変動に伴う企業の財務上のリスクを開示する取り組みの一環として、JR東日本が東京の東部を流れる荒川の氾濫(はんらん)による被害想定を調べたところ、駅などの施設の浸水東北新幹線山手線など主要11路線に影響が及び、損失額は気温上昇がない場合の被害総額より最大で40億円増加することがわかった。11路線の旅客収入は同社全体の7割にあたり、浸水対策を進めている。

 調査は昨年12月~今年7月にかけて実施した。同社が「100年に一度」の大雨による荒川の氾濫を想定。平均気温が2度~4度程度上昇したシナリオを使い、国の洪水浸水想定区域図や独自に集めた洪水発生頻度などを活用して分析した。

東北、上越新幹線

 首都圏にあるJR東の駅や変電所など鉄道施設約400カ所の高さと浸水深などを比較した結果、山手線や東北線(京浜東北線埼京線を含む)など11路線で一部の施設が浸水し、全体の輸送に影響が出ることがわかった。東北や上越、北陸新幹線も含まれており、首都圏以外への運行にも支障が出る恐れがあるという。

 被害額は、主要路線の資産額や旅客収入の今後の推移などを加味して試算。浸水による運休や復旧までの旅客収入減などで、損失の増加額は34億~40億円になると予測した。一方、発生前に浸水対策をさらに講じた場合では、13億~16億円増に抑えられるとした。気温上昇がない場合の被害総額について同社は「非公表」としている。

 この調査は、各国の金融当局…

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