閉園の加悦SL広場から「103号」が里帰りへ出発 京都
歴史的な鉄道車両を展示し、昨春に閉園した京都府与謝野町加悦(かや)の「加悦SL広場」で26日、「103号蒸気機関車」が譲渡先の山口県下関市へ向けて出発した。閉園後初めての運搬。103号が大正~昭和に走った私鉄・長門鉄道のあった下関市豊田町へ、約70年ぶりに里帰りする。
機関車は長さ6・5メートル、幅約2・3メートル、高さ3メートル、重さ18・3トン。この日朝、大型クレーンでトラックにゆっくりと移された。大型トレーラーに載せ替え、交通量の少ない夜にだけ走って28日早朝に下関に着く予定。新たな展示場になる道の駅で、鉄道と生きた地域の歴史を伝え続ける。
103号は1915年の米国製。ゆったり走る姿から「長門ポッポ」と親しまれた長門鉄道(18・2キロ、1956年に廃線)が輸入し、「長門鉄道101号」として18年の開業当時から走ったが、47年に東洋レーヨンが譲り受けて滋賀工場内で稼働。プレートは「103号」に付け替えられたという。64年には宝塚ファミリーランド(兵庫県)に寄贈・展示。同園が2003年に閉園し、加悦SL広場に移った。
SL広場の閉園を知った下関市の有志が古里に戻そうと、今年1月に「長門ポッポを守る会」を結成。道の駅の敷地内にプラットホームや覆い屋根などを整備したうえで、11月6日に公開する。
26日の運搬作業は、会の5人が「人や物資を運び、地元に親しまれた歴史を伝えたい」と見守った。伊藤修二会長(78)は「車両が残っているのは奇跡に近い。道の駅をより良い観光スポットにして、地域を盛り上げたい」と意気込む。
SL広場を管理する宮津海陸運輸によると、27両の展示車両うち6両の保存・譲渡先が決まっていない。車両保存を支援するNPO法人加悦鉄道保存会の吉田博一理事長(59)は「車両が減るのは寂しいが、里帰り先でも大切にしてほしい」と話した。
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