JR只見線開通50年 復旧工事続く中、再開通待望も

上田真仁
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 【福島】JR只見線は29日、会津若松―小出(新潟県魚沼市)の全線開通から50年を迎えた。奥会津の山あいと只見川沿いをときに縫うように走り、四季折々の風情と相まって国内外で人気がある。10年前の豪雨災害による不通区間が残るほか、コロナ禍もあって観光が振るわず、沿線は再開通を心待ちにしている。

 只見町の只見駅前であった記念式典で、渡部勇夫町長と山下鎭男・会津坂下駅長は、全線の開通で利用を促進して地域を活性化すると述べた。内田幹夫・新潟県魚沼市長は祝辞で、コロナ後を見据えて沿線の魅力を広く発信していくことの大切さを述べた。

 只見線は旅行雑誌の全国絶景ランキングで8位に食い込み、「絶景の写真を撮れる」と台湾などアジアでも人気だ。会津観光の盛り立て役として象徴的な存在で、第一只見川橋梁(きょうりょう)展望台(三島町)では東京五輪聖火リレーがあった。

 JR東日本によると、2011年の豪雨で橋梁が流された3カ所のうち、1カ所は復旧工事が終わり、残る2カ所でも橋桁の架設や線路の工事が進む。

 会津川口―只見(27・6キロ)が運転再開した後、列車運行はJR東日本が、線路や鉄道施設は県が保有・管理する「上下分離方式」が導入される。沿線の自治体では少子高齢化が進み、地元が負担を背負うことに不安の声もある。

 式典を見ていた只見町の夫婦は「復旧にお金をかけることに反対する人はいるが、私たちはこの町と只見線が好きだ。会津の人たちが一緒に再開通を願うことで支援したい」と話した。

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 沿線の活性化に向けた動きも見られる。JR東日本と柳津町が21日、会津地方の活性化や観光の底上げを狙うイベントを会津柳津駅で催した。ふだんは無人の駅舎がにぎわった。

 1927年に建てられた駅舎は、1200年の歴史をもつとされる円蔵寺の近くにある。現存する只見線の駅舎でも特に古く、そばに「昭和18年製造」のSLが展示されている。

 イベントでは駅事務室が一時的に開放され、往時の町の様子や駅舎の白黒写真が並んだ。町の伝説でもある赤毛の牛「赤べこ」のペーパークラフトづくりや、武蔵野美術大の学生が町をテーマにしたクロッキーが展示され、町をPRする催しとなった。

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