並行在来線、値上げへ 最初の5年は1.15倍 福井

堀川敬部
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 2024年春の北陸新幹線敦賀開業でJRから経営分離される並行在来線(石川県境―敦賀間)について、福井県は、人口減少で厳しい経営が予想されるとして運賃水準を引き上げる方針を固めた。普通運賃は、最初の5年間が現行の1・15倍、6年目以降は1・2倍とする。それでも当面は赤字経営が続くといい、県は沿線自治体と基金を設けて補塡(ほてん)する考えだ。

 23日に開かれた県議会の「地域鉄道の維持・活性化を目指す議員連盟」の総会に提出した県の経営計画案で示された。

 県によると、運賃水準は石川県や富山県などの近隣先行県の水準や、利用者負担(運賃収入)と行政負担(収支不足の補塡)のバランスを考慮したという。通勤定期の引き上げ率も同じだが、通学定期は、学生の負担を考慮し、1・05倍の引き上げにとどめる。

 一方で、運行計画では、運行本数を現行の1日102本から126本程度に増やし、通勤・通学の利便性向上と新幹線駅へのアクセス向上を図るという。増便する24本のうち8本は快速列車で、朝夕の時間帯に福井―敦賀間を運行する。

 経営分離後は、1日の利用者を2万人と想定するが、それでも厳しい収支が続くという。経営計画案によると、開業初年度に当たる24年度の運賃収入は17億5千万円だが、貨物線路使用料などを加えた収入全体から人件費や運行経費などを差し引いた収支差は7億3千万円の赤字になると試算。その後も、収支は改善せず、11年間で約70億円の累積赤字が予想されている。

 そのため、県と沿線7市町は収支不足の補塡財源として「県並行在来線経営安定基金(仮称)」を設置する方針だ。基金の総額は70億円で、県と沿線市町が35億円ずつ負担する。

 経営計画案は9月定例県議会で審議し、10月にも県や市町、経済団体、利用者団体などでつくる「県並行在来線対策協議会」で決定するという。(堀川敬部)

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