「安全に掘れる」 リニア地下工事でJR東海が説明会

堀川勝元
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 地下40メートルより深い大深度地下を掘り進めるリニア中央新幹線のトンネル工事について、住民向けの説明会が17日夜、愛知県春日井市内であった。大深度地下の工事をめぐっては、昨年10月に東京都調布市で住宅街の道路が陥没する事故があり、説明会はJR東海が住民の不安を解消しようと開いた。

 説明会は、今年6月に都内で開かれたのに続いて2回目。約70人が参加し、報道陣には非公開だった。

 調布市の陥没事故は、NEXCO東日本(東日本高速道路)による東京外郭環状道路の工事で、シールドマシンという大型機械でトンネルを掘削する過程で起きた。リニアの品川―名古屋間(285・6キロ)のうち大深度地下の区間(50・3キロ)は、すべて「シールド工法」で掘り進められる。この工法を用いるのは東京、神奈川、愛知、長野の4都県の63・6キロに及び、県内では春日井市から名古屋市にかけての19・8キロが該当する。

 JR東海は、説明会に先立って開いた報道陣への説明で、調布の現場は流動化しやすい砂の層が続くなど「特殊な地盤」で「施工に課題があった」と指摘した。そのうえで、粘性土を多く含む春日井市内の地盤と異なるうえ、別のシールド工法を採用するため「同じようなメカニズムによる陥没事故は発生しない。適切に施工管理すれば安全に掘れる」と説明した。

 万が一に備え、トンネルの真上から約40メートルの範囲内にある家屋の現状を事前に調べ、工事が原因で損害が生じた場合は補償するという。こうした内容を住民向けの説明会でも明らかにしたという。

 参加者からは、工事による振動の有無や家屋調査などについて質問があったという。取材に対して、予定地周辺に住む40代の会社員男性は「工事期間だけでなく、リニア開通後に住宅が損壊した場合にどうなるのか、説明がなく不安だ」。70代の男性は「丁寧な説明だった」と一定の評価をしつつも、「トンネルの上に新しく家を建てた人は『工事があると知っていたら建てなかった』と言っており、不安だと思う」と話した。

 JR東海の担当者は「工事に関するご理解を深めていただいた。今後も丁寧な説明に努めたい」と話した。今後、名古屋市でも同様の説明会を開く予定だ。(堀川勝元)

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