高齢者の「おでかけ応援」、対象年齢引き上げ案 堺市

井石栄司
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 【大阪】堺市は、65歳以上の市民が市内の路線バス(南海バス、南海ウイングバス金岡、近鉄バス)や阪堺電車などを1乗車100円で利用できる「おでかけ応援制度」の利用年齢を、70歳以上に引き上げる方針を示した。堺市の永藤英機市長が16日の定例記者会見で明らかにした。

 堺市は財政の硬直度を示す経常収支比率が一昨年度から2年連続で100%を超えた。人件費など「毎年必ず出て行くお金」が収入で賄えていない状況が続いている。このため2030年度までに収支均衡を図る「財政危機脱却プラン」の素案をこの日公表した。応援制度の見直しは、脱却プランの一環として示した。

 制度を利用するにはカードが必要。市民は1乗車100円で利用でき、運賃の不足分は市が負担している。カードを持つ市民は昨年度時点で対象者の7割にあたる約16万4千人。

 見直し案は、対象を65歳以上から70歳以上に引き上げるとしているが、経過措置として来年3月末までに65歳になっている市民には継続所有を認めるという。来年度の削減効果は2千万円程度。削減開始から5年後には年1億1200万円の削減効果を見込む。

 このほか、日高少年自然の家を廃止するなど、公共施設を削減する方針も盛り込んだ。外郭団体の見直しなども含め、30年度時点で少なくとも計20億6千万円の収支改善効果を見込む。

 年内に素案に対するパブリックコメントを実施。今年度中に取り組みを始める。永藤市長は、23年6月に任期満了を迎える前の23年2月に公表する財政見通しで「収支均衡するための道筋をつけたい」としている。

 堺市は、新型コロナの感染拡大が続くなか、子育て世帯を応援するため、今年生まれた新生児1人につき3万円の特別給付金を独自に給付する。

 市は昨年度、国の特別定額給付金の支給対象にならない4月28日~12月末に生まれた新生児1人につき5万円を保護者に給付。今回はそれに続く第2弾で、今年1月1日~12月31日生まれの新生児の保護者が対象。対象者は約6千人を見込む。申し込みは10月以降の予定。財源は国からの臨時交付金を充てる。

 このほか、経済的に苦しい女性の相談に応じたり生理用品を配ったりする。ひとり親家庭には、賞味期限が短くなったスーパーなどの食材を提供する。さらに中学1年の生徒がいるひとり親には自立支援セミナーを開催し、子どもには家庭教師を派遣する。

 これらの事業費を盛り込んだ総額31億1千万円の一般会計補正予算案を23日に開会する市議会定例会に提案する。(井石栄司)

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