LRT事業費超過、質問状に市が回答 市民団体は批判

中村尚徳
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 【栃木】宇都宮市が進めるLRT(次世代型路面電車)整備事業費が、当初の公表額より約200億円超過した問題で、市民団体「宇都宮市のLRT問題連絡会」が出していた公開質問状に対し、市が回答した。同会は回答文書について「中身がなく非常に不十分な回答」と批判している。

 超過問題を巡っては、今年1月に約200億円の増額が公表される約2年前、2018年12月の時点で約172億円の増額を試算するなどした内部文書の存在が明らかになった。同会が文書についてただしたところ、市は「意思決定のための資料ではなく、残してきたこと自体が不適切な文書」と説明した。

 内部文書には「市長選の時期などを見極めながら公表のタイミングを検討」と記載されていた。この点について市は市長選の時期を考慮したことは一切ない、と意図的な「隠蔽(いんぺい)」ではなかったと説明。市政の意思決定や合意形成に市長が役割を果たしていないのでは、との疑問に対しては「適切だった」と答えた。

 同会は公共事業の推進可否の判断材料となる「費用便益比」が1以下の0・73になったことも問題視。事業継続の再検討も必要なのではないかとただしたが、市は、LRT沿線の人口増などの調査に取り組んでいるとかわしている。(中村尚徳)

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