英女王も昭和天皇も乗車 近鉄12200系が最終運行へ

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臼井昭仁
【動画】近鉄の特急車両「12200系」が8月に記念のラストラン=臼井昭仁撮影
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 一度は目にしたことがあるだろう。紺色とオレンジ色の車体で知られる近鉄の特急車両12200系。高度成長期に登場し、昭和天皇や英国のエリザベス女王も乗車したことがある名物車両だ。今年2月に一線から退いた後、臨時列車として姿を見せることもあったが、8月7日の「ラストラン」での完全引退が決まった。

 12200系は1969(昭和44)年に登場し、76年まで近鉄で最も多い168両が造られた。大阪難波―名古屋間、大阪難波・名古屋―賢島間など、主要路線を走る特急車両として使われてきた。

 64年に開業した東海道新幹線の速度にはかなわないため、「快適さの充実」で対抗。当時の新幹線より広い座席間隔(前後は98センチ)にリクライニングシートや、まだ珍しかった洋式トイレを採り入れた。初期の車両には電子レンジを置いて、軽飲食を提供するスナックコーナーがあり、「新スナックカー」とも呼ばれた。

 沿線に伊勢神宮三重県伊勢市)や橿原神宮奈良県橿原市)があり、皇族の利用も多かった。75年にはエリザベス女王が、お色直しをした貴賓列車に乗車した。

 後継の新型車両が導入され、今年2月には定期運用から外れた。しかし、鉄道ファンらの要望もあって、4月に名古屋―賢島間、大阪上本町―賢島間をそれぞれ1日1往復で計4日間、臨時特急として運行。コロナ禍で利用客が低迷しているなか、乗車率は平均で7割に達し、好評だった。

 ラストランとして企画された8月7日の臨時特急は名古屋―賢島間、大阪上本町―賢島間をそれぞれ1往復する。乗車の予約は7月1日から受け付ける。

 1編成あたり約260人の客が乗車できるが、今回は密を避けるため、定員を120人にとどめた。近鉄の広報担当者は「最後の機会なので記念品も準備する。色々な声は届いているが、車両の保存などは考えていない」と話している。(臼井昭仁)

東海道新幹線に対抗するため、「快適さ」を追求してきたという近鉄。記事後半では、近年の豪華車両も紹介しています。

引退惜しむベテラン社員、12200系の「弱点」とは

 「昭和」を感じさせる車両として、12200系は根強い人気を誇っていた。近鉄のベテラン社員にとっても思い入れは深い。

 「最新車両と違って電子部品

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