自転車の旅が好調 持ち込みできる専用列車人気

三嶋伸一
[PR]

 【千葉】自転車で房総半島を巡るツアーが好調だ。コロナ禍で一般のツアーには慎重な人が多いなか、屋外を走る自転車ツアーは密になりにくいためらしい。JR東日本千葉支社が運行する自転車専用列車「B・B・BASE」(房総バイシクルベース)を使ったツアーも、参加者が増えているという。

 JR千葉支社によると、B・B・BASEは車内に自転車を固定できる設備を備えた6両編成の専用列車で、自転車を分解せずにそのまま持ち込める。山と海が同時に楽しめる房総半島が自転車愛好家に人気なことから約3年半前、一般車両を改造して運行を始めた。

 5月末、「B・B・BASE君津で行く鹿野山・東京湾ライド」ツアーに同乗した。君津駅から、愛宕山(標高408メートル)に次いで県内で高い鹿野山(かのうざん)(標高379メートル)やマザー牧場を目指す上級コースや、富津岬から海沿いを走る初級コースなどに分かれ、夕方に富津市の浜金谷駅から帰るツアーだ。

 JR両国駅東京都墨田区)で、スポーツ用自転車のロードバイクやクロスバイクとともに約70人が乗車。列車の定員は約100人だが、コロナ対策のため、これで「満席」という。

 ベテラン愛好家は少数で、初心者や家族連れが多かった。

 千葉市花見川区の会社員、能登谷(のとや)志穂さん(24)と高校3年の麻結(まゆ)さんの姉妹は、2人ともスポーツ用自転車に乗るのがこの日初めて。知人の薦めでクロスバイクを借りたが、「少しサドルが高かったけれど、こぎ始めると軽快」と志穂さん。麻結さんも「コロナで修学旅行が中止になったので楽しめた」と話した。

 松戸市の会社員、芦谷広太郎さん(50)はランニングでひざを痛めてロードバイクを始めたという。「自転車は高額ですが、買ってしまえばあとは会費も燃料代もいらない。コロナ下でも安心」と魅力を話す。

 妻らと参加した都内の会社員、塩谷徹さん(57)は鹿野山越えの上級コースを走破した。2011年の東日本大震災で道路が渋滞し、自転車通勤したことがきっかけで始めた。「沿線の応援がうれしかった」という。

 JR千葉支社によると、B・B・BASEは主に週末、「外房コース」「内房コース」などを運行していて、昨年からコロナ下でも満員になる列車が増えた。県内の私鉄でも自転車を持ち込めるサービスが増えているという。沿線自治体の応援も熱く、君津駅で出迎えた石井宏子・君津市長は「君津へ都心からも来て欲しい」と期待した。(三嶋伸一)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません