利用低迷の芸備線、JR西日本が地元と存廃視野に協議へ
JR西日本は8日、広島県北部と岡山県を結ぶ芸備線(159キロ)の利用減などの課題を洗い出すため、一部の沿線自治体に協議を申し入れたと発表した。今後の話し合いの内容によっては、一部廃止も視野に検討する可能性がある。コロナ禍による収益悪化を受け、採算が悪いローカル線の見直しが加速しそうだ。
芸備線は、備中神代(こうじろ)駅(岡山県新見市)と広島駅(広島市)を結ぶローカル線。競合する高速道路の整備もあって利用低迷が目立つ。同社によると、広島県庄原市内と新見市の沿線駅では庄原市の14駅のうち、2019年度の1日あたりの乗車人員が10人を切る駅が10カ所にのぼり、0・5人未満の駅も山ノ内や道後山、備後八幡駅など四つあった。
両市を合わせた人口は1990年の約9万3千人から19年は約6万3千人にまで減った。備中神代駅~備後庄原駅(庄原市)の平均通過人員は90年の12%に落ち込んでいるという。
このため同社は7月にも、両市などと沿線地域の利用状況や鉄道以外も含む公共交通の状況などを整理し始める。広島県にも追って申し入れる見通し。協議には必要に応じて、地元の交通事業者にも加わってもらう考えだ。
同社が利用データなどをもとに自治体に具体的な議論の場を申し入れるのは初めて。平島道孝・岡山支社長は8日の会見で、「(検討対象の区間は)特に利用が少ない状態が続き、コロナ禍により課題が鮮明になっている」と説明した。現状や課題について共通認識を持つための場」で「存続、廃止は議論対象でない」としたうえ、将来的な廃止の可能性も「今からの議論でコメントできる状況にない」と話した。
申し入れを受けた岡山県の伊…