苦境のさなかに開業50年 湘南モノレール

織井優佳
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 大船と湘南江の島を結ぶ湘南モノレール(本社・神奈川県鎌倉市)は今年、全線開通50周年を迎える。記念の節目はコロナ禍とぶつかり、2020年度の利用者数は前年度比3割減。しかし、開業以来の歴代車両を紹介した記念グッズを発売するなど、地域の足としての存在感をくじけずアピールしている。

 大船駅グッズ窓口で1日から販売を始めたオリジナルクリアファイル(税込み350円)は、イラスト版と実写版があり、いずれも開業当時の「300形」から現行の「5000系」までの車両4種類が掲載されている。A4サイズに50年間を走り続けた4代の雄姿を一挙に載せ、各年代の利用客に懐かしく思い出してもらおうと企画された。

 運転台と客室に仕切りがなく、乗客との距離が近すぎた「300形」。前面ガラスが大きい「400形」はロングシートを導入したものの、「諸事情」ですぐにクロスシート仕様に。「500形」では待望の冷房がついたが、ブレーキの癖が6編成すべてで違い、かけるタイミングを熟知しないと駅の停止位置がずれる、と運転士を焦らせた。2004年導入の現行「5000系」は、VVVFインバーター制御のワンハンドル車両で、力強くなめらかな加減速で乗り心地も改善された。

 国内でも数少ない懸垂式の湘南モノレールは、1970年3月に大船~西鎌倉で開業。71年7月に湘南江の島まで延伸し、6・6キロが全線開通した。年間約1千万人以上が利用してきたが、昨年3月以降はコロナ禍の影響で利用客が減少し、昨年5月には前年同月比5割を超える落ち込みを記録した。

 尾渡英生社長は「節目を前にPASMO導入や駅舎のバリアフリー化を進め、次の50年への一歩を踏み出そうとした矢先。回復の見込みが立たない現状ですが、負けてはいられない。『地域と共に走り続ける』が我々のミッション。今年は『コロナ終息祈願号』も運行を開始。地域の皆さんと共に、コロナ禍後の世界に向かって安心安全の運行を続けます」と話す。(織井優佳)

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