路線バスや路面電車を運行する、とさでん交通(高知市)は4日、2020年度決算を発表した。新型コロナウイルスの影響で利用客が大きく減り、売上高は半減。コロナ対策の雇用調整助成金など公的支援を計6億円超受けたものの、当期純損益は過去最悪の8億2400万円の巨額赤字となった。

 売上高は前年度比49%減の27億8400万円。本業の業績を示す営業損益は前年度より13億5400万円悪化の18億6千万円の赤字を計上した。

 また、25日付で片岡万知雄社長が退任する人事も内定。とさでん交通は高知県が筆頭株主で、後任には片岡氏と同じく県出身の樋口毅彦監査役が就く予定。片岡氏は「会社存続の危機。21年度はしのいでも、以降は危険な水域に入る」と述べる一方、引責辞任を否定し、「国や自治体に抜本的な議論をしてもらいたい」と話した。

 第三セクターの土佐くろしお鉄道(高知県四万十市)の20年度決算も、新型コロナの影響で業績が悪化した。売上高は前年度比28%減の6億4297万円。経常損益は6億6591万円の赤字で前年度より赤字幅が約1億6千万円広がった。当期純損益も2248万円悪化し3774万円の赤字だった。(冨田悦央)