観光列車おろち号引退へ JR西「代わり考えていない」

杉山匡史
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 2023年度での運行終了が明らかになった島根県のJR木次(きすき)線を走る観光列車「奥出雲おろち号」(3両編成、定員64人)について、JR西日本米子支社は3日、正式に運行終了を発表した。利用低迷に悩む木次線への影響も懸念されるが、牧原弘支社長は会見で「存続や廃止は決まっていない」と述べるにとどめた。

 「おろち号」はディーゼル機関車と、窓を取り払った開放的なトロッコ車、雨天時などに客が乗る控車(ひかえしゃ)で編成している。毎年4~11月の間、木次(島根県雲南市)―備後落合(広島県庄原市)の60・8キロを走る。日曜日を中心に一部は出雲市駅まで運行している。

 乗客は、コロナ禍の昨年は約6千人にとどまった。2008年のピーク時は約2万人が乗車。その後は約1万3千人で横ばいという。

 支社によると、車両は1998年4月の運行開始時から使用。70~78年の製造で老朽化が進み、部品の製造中止で調達に苦慮していた。このため6年ごとの全般検査(車検)を受けて整備を続けても、安全性を保つことは困難と判断。23年で「節目」となるトロッコ車の車検更新をせず、運行の終了を決断したという。

 おろち号の終了は事業費の一部を負担している「出雲の国・斐伊川サミット」(沿線自治体の出雲、雲南市、奥出雲町と飯南町で構成)の自治体を中心に事情を説明しているとした。

 牧原支社長は会見で、地元に愛されながら地域の活性化に一定の役割を果たしてきたとの見方を示した。一方、地元が継続を求めていることに対して「直接話を聞きたい。(現時点で)『おろち号』の代わりは考えていない」と述べた。(杉山匡史)

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