長崎新幹線「フル規格試算を」佐賀県が国に 容認は否定

松岡大将 林国広
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 九州新幹線西九州ルート(長崎新幹線)の新鳥栖―武雄温泉間の整備方法をめぐり31日、佐賀県国土交通省との「幅広い協議」がオンライン形式であった。県は、フル規格で整備する場合の3ルートの事業費などの試算を初めて求めたが、報道陣の取材にはフル規格容認を否定した。

 協議の冒頭で県の山下宗人・地域交流部長が、先日都内であった与党の検討委員会での議論について「県の考えや意向を無視してフル規格の方向性が示され、違和感がある」と切り出し、県と国交省との協議が、フル規格を実現するためのものではないか確認し、国交省の足立基成・幹線鉄道課長も否定した。

 一方で山下部長は、佐賀市南部の佐賀空港や佐賀市の北部を通るルートについて議会などで議論になっていると紹介し、「フル規格では佐賀駅ルートだけではなく、北と南についても出す必要がある」と試算を求めた。また、「ルートを考える時に新幹線がどう生かされて地域発展するのか夢も考えていかなければならない」とつけ加え、数字以外のデータも求めた。足立課長は「これまで検証してこなかったが、初めて指摘いただいたので準備したい」と応じた。

 県はフル規格を想定していないとして、これまでの協議で在来線を利用する以外のルートについて試算を求めたことはなかった。

 山下部長は終了後に報道陣の取材に応じ、三つのルートの試算などを求めたことについて、「佐賀駅ルートだけが検討対象でないとはっきりさせるために、議員の声もあって提案した。ただ、フルにかじを取ったわけではない」と語った。

 一方、国交省で取材に応じた足立課長は「ルートについて、南や北など示してと話があったのは進展」と振り返り、試算などの時期については「いったん整理したい。数字だけならかき集めればある程度出てくるが、そこだけじゃないと言われたので、よく考えたい」と話した。(松岡大将、林国広)

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