新幹線延伸で経営自立は「夢」? JR元社長語る理由

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構成・斎藤徹
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 10年前の石勝線特急脱線・炎上事故。安全軽視の姿勢を厳しく批判されたJR北海道は、削減していた安全対策費を積み増し、経営再建を進めた。JR北が目指すのが、2030年度の北海道新幹線札幌延伸後の経営自立だ。新幹線延伸、不動産業などの多角化で、赤字路線維持に苦しむ経営からの脱却はできるのか。元JR九州社長の石井幸孝氏(88)に聞いた。

 石勝線事故は10年前の2011年5月27日、午後9時55分ごろに発生。JR石勝線の第1ニニウトンネル(北海道占冠村)内で、釧路発札幌行き特急「スーパーおおぞら14号」(6両編成)の車輪の傷が原因で走行中に振動が発生、4両目車両下部の減速機が脱落し、後続車両が脱線した。衝撃で燃料タンクが破損し出火。乗員・乗客252人は避難した。乗客78人と車掌1人が煙を吸うなどして負傷した。

東海道新幹線との違い

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 石勝線事故の背景には安全軽視の体質があった。事故を受け、JR北は修繕すべきところにはお金をかけて直すという基本に立ち返った。だが、修繕費が増えたことで赤字はさらに膨らみ、厳しい状況にある。

 JR九州で鉄道事業の赤字を埋めるために取った戦略が経営多角化だ。鉄道4割、不動産や宿泊、飲食業などその他6割という割合で経営を進めた。時間はかかったが、2016年に完全民営化を果たした。

 JR北が「切り札」としてい…

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この記事を書いた人
斎藤徹
山形総局|総局キャップ・県政担当
専門・関心分野
人口が減っても持続可能な地域づくり