プラレールが走る料理店 店主の心うごかした少年の夢

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富永鈴香
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 京都市伏見区にあるレストラン「トライム」は、知る人ぞ知る名店。店の一角を占める大きなプラレール展示が、料理とともに、多くの親子連れや鉄道ファンらを魅了してきた。ユニークな店構えの出発点は、難病を患った少年と店主の出会いにあるという。

 黄色い柱が支える青いレールの上を、8両編成の新幹線700系やきかんしゃトーマスが軽快に走っていく。

 「あっちもみてみたい」

 22日、久御山町から誕生祝いで家族で来た吉田慎矢君(2)は、母親の胸のなかで、目の前の模型の数々に釘付けになっていた。

全長18メートルの巨大プラレール、エヴァ柄新幹線も

 店内を飾るプラレールのジオラマ展示は幅7メートル、奥行き2メートル、高さ2メートル。全長18メートルのレールが複層構造で組み立てられ、エヴァンゲリオン柄の新幹線や、人気が高いドクターイエローなど約40種類の車両を走らせることができる。

 プラレールは、玩具大手タカラトミーが1959年に発売した、幼児向け鉄道模型の代名詞ともいえる人気商品だ。国内外問わず、大人のファンも多く、鉄道会社の運転士の訓練にも使われている。

 「まだ帰りたくないという子どもたちの声を聞くと、楽しんでもらえたんだなとうれしく思う。鉄道模型を懐かしむ大人も来られます」と、店主の小川清美さん(63)は話す。

 トライムは、2016年に開店した。夫の治夫さん(65)と、治夫さんの元同僚の飛川和江さん(66)の3人による共同経営。誰も飲食店での勤務経験がなく、手探り状態だったが、一つだけ決めていた。

 子どもたちの憩いの場にすることだ。

 時は07年にさかのぼる。心…

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この記事を書いた人
富永鈴香
水戸総局|茨城県政、水戸市政担当
専門・関心分野
人権問題、社会運動、地方政治