山梨の魅力を東京に直送 JR東が朝採れトマトを特急で
岩城興
山梨の旬の農産物を首都圏の消費者に届けようと、JR東日本八王子支社は19日、甲斐市のトマトを、中央線の特急列車かいじで甲府駅から東京・八王子駅まで運んだ。農場からは約6時間で八王子駅ビルの店舗に並んだ。22日も運ぶ予定だという。
甲府駅、午後0時32分発の特急かいじ24号。JR社員4人が、最後尾の車両にトマト入りの特製バッグを背負って乗り込んだ。約1時間後、八王子駅に到着。午後2時前には駅ビル2階コンコースにある、山梨と東京・多摩地域の地産品店「やまたまや」に、トマトを出した。陳列から10分余りで用意した中玉70パック、約18キロがすべて売り切れた。
トマトは当日朝、甲斐市の農業生産法人「赤坂農場」でとれたばかりのオリジナルブランド「赤坂とまと」。農場によると、この時期に糖度が最も高く、濃厚な味わい。ふつうの流通ルートを通すと、農場から店頭に並ぶまで3日かかるといい、農場の佐藤俊也社長(56)は「完熟直前のトマトを、すぐに食卓に届けられる。生産者にとっても望ましい取り組み」と歓迎した。
JR支社によると、中央線の特急による輸送は、2月の甲州市産イチゴに続く第2弾。コロナ禍で昨年度の乗客は、対前年度の4割ほど。そこで空いた座席を活用し、山梨の魅力ある生鮮品の配送・販売を始めた。
同社では東北や上越など新幹線でも、同様の取り組みを始めている。支社広報室の担当者は「生産地と消費地を結ぶ特急列車を生かし、旅行に行けない方にも山梨の魅力を味わっていただける。新たな事業として育てていければ」と話している。