本州最北端、災害越えて走り100年 青森・JR大湊線
本州最北端、青森県の下北半島を走るJR大湊(おおみなと)線が今年9月、開通100年を迎える。八甲田山(はっこうださん)を望む野辺地(のへじ)町から釜臥山(かまふせやま)を抱くむつ市へ、南北に延びる58・4キロは、戦前は海軍基地へ物資を運び、戦後は交通手段として利用されてきた。災害や廃線議論を乗り越えてきた緑と白の車両は、これからも走り続ける。
JR東日本青森支店の伊倉知行さん(54)に案内を請い、大湊駅から野辺地駅に向かう快速列車に一緒に乗り込んだ。大湊駅(むつ市)の愛称は「てっぺんの終着駅」。ここから鉄路は延びないとしてそう名付けられ、構内には「車止め」がある。鉄道ファンに人気のスポットだという。
2両編成の列車が走り出すと、間もなく背後に釜臥山が見えてきた。次は下北駅。本州で最も北にある駅だ。「終着点の大湊駅よりも、実は下北駅のほうが緯度が若干高いのです」と伊倉さんが教えてくれた。その次の陸奥横浜駅は、かつては駅員がいたものの、今年3月から無人駅になった。
しばらく進むと、目の前に陸奥湾が広がってきた。この風景をこよなく愛する人がいる。大湊駅長の松橋昌幸さん(58)だ。「水平線に夕日が沈む幻想的な風景は素晴らしい。ぜひ写真を撮って下さい」と勧められた。
そして列車は野辺地駅(野辺…