費用対効果の指標、「1」以下に 市が市議会で説明

中村尚徳
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 JR宇都宮駅東側で整備が進むLRT(次世代型路面電車)の費用対効果を測る指標「費用便益比」が、事業費の大幅増加に伴い「1」を大きく割り込んだことが分かった。宇都宮市は12日、増額前に開業後30年で「1・07」としてきた数値が「0・73」になった、と市議会に説明した。

 費用便益比は、開業後の効果を金額換算した「総便益」を、事業にかかる「総費用」で割って算出。数値が「1」を超えると事業効果があるとされる。千葉都市モノレール千葉市)のルート延伸案は「1」を割り込み、千葉市は延伸を断念した。

 市によると、開業後の所要時間の短縮や交通費の減少など金額換算が可能な総便益511億3800万円を、30年間の施設の維持・更新費を含めた総費用704億4700万円(税抜き)で割り、大幅増額後の費用便益比を算出した。

 市は「1」以下になったことについて、「沿線地域の活性化や定住人口の増加など金額換算が難しい町づくりの効果もある。整備効果の評価方法などを有識者の意見を聞き検討している」としている。

 東側区間(14・6キロ)の総事業費については1月、従来の458億円から684億円への増額が公表された。市は約2年前、200億円近い増額を試算した内部文書でも費用便益比が「1」以下を想定し、「費用便益の確保は困難」などとしていた。

 また、市は同日、大幅増額や開業時期の1年遅れに伴う「軌道運送高度化実施計画」の変更申請が先月31日付で国に認められたと報告。用地取得は3月末現在、16人の地権者と新たに契約し、残りは26人になったと説明した。(中村尚徳)

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