さらば100年の木造駅舎 池上駅が懐かしさ残して刷新

南日慶子
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 1922年の開業以来、100年近く使われてきた東急池上線池上駅の木造平屋の駅舎が、商業施設が入る地上5階建ての駅ビルに生まれ変わって30日に全面開業する。東急で唯一、逆方面行きの電車が着くホームに移動するのに、構内の踏切を渡らなければいけないレトロ感満載の駅舎だった。新しい駅と駅ビルは、木のぬくもりがあふれ、旧駅舎の「記憶」を残す造りになっている。

 池上線は池上電気鉄道(当時)が、池上本門寺の参拝客輸送のため開通したことが始まり。歴史のある木造の駅が多く、改修するたびに古い木材がたくさん出る。そこで、池上線を所有運営する東急は古い木材を「えきもく」と名付けて、活用するプロジェクトを進めている。

 新しい池上駅や駅ビルも「えきもく」の木をふんだんに利用しているのが特徴だ。開業前日の29日に、報道陣向けに公開された。

 駅ビル内の商業施設「エトモ池上」(店舗面積約4950平方メートル)には、スーパーマーケット、総菜店、飲食店など計26店のほか、区立図書館が入る。図書館の隣にはカフェがあり、それぞれに飲み物と本を持ち込みできる。「えきもく」は、図書館のベンチの一部や返却ポスト、カフェのアートパネルなどに活用した。

 駅では、旧駅舎のホームで使われていた木製の白いベンチを新駅舎の改札近くに移設した。旧駅舎や構内踏切はなくなったが、「懐かしいと言ってもらえるようにしたかった」(東急のビル運営事業部・小泉絵理子さん)。

 新池上駅の駅舎は昨年7月に供用を開始。今月30日に商業施設が営業を始めることで駅ビルが全面開業となる。商業施設は年180万人の利用を見込むという。南日慶子

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