2年前の内部文書 公表時期検討は不適切 宇都宮市長

中村尚徳
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 【栃木】JR宇都宮駅東側で整備が進むLRT(次世代型路面電車)事業費が大幅に超過した問題で、宇都宮市の佐藤栄一市長は25日、約2年前の内部文書で、市長選の時期を挙げて増額の公表時期が検討されたことは不適切だったとの認識を示した。増額についても、初めて陳謝した。

 定例会見で記者の質問に答えた。2018年12月作成の文書は、従来の公表額より約172億円の増額を試算。そのうえで昨年11月の市長選などを挙げ、「超過額が大きく対外的な説明が困難。説明手法の検討や公表のタイミングをはかる必要がある」とあった。

 佐藤市長はこの日、文書の存在は報道まで知らなかったと改めて釈明した。

 記者側から、全体の奉仕者であり政治的中立性が求められる公務員が、市長選を意識して公表時期を検討したのは問題ではないかとただされると、「様々なスケジュールを課題として考えるのは当然だが、それを意識して公表時期を検討したのは不適切だった」と述べた。ただ、現場が忖度(そんたく)するような多選の弊害は認めなかった。

 佐藤市長は1月の大幅増額公表以降、議会などで「開業を心待ちにしていた市民におわびしたい」とだけ述べるにとどめていた。

 これまで増額については「仕方ない」としてきたが、改めて見解を問われ、「事業に反対されている方もいる。開業遅れと同じようにおわびしなければならない」と初めて陳謝した。

 今年度中に予定していた宇都宮駅西側への延伸ルート公表は先送りする、と表明した。町づくりへの効果やルートの高低差に関する技術的な問題だけでなく、東側区間の大幅増額や開業遅れの影響があることを認めた。

 また、コロナ禍の影響で変動した可能性があるLRT費用対効果の再検討については、LRT企画課が「(需要予測のやり直しを)やらないこともありうる」と説明した。(中村尚徳)

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