くま川鉄道 11月にも部分再開へ 豪雨で全線運休

村上伸一
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 昨年7月の記録的豪雨で被災し、全線運休が続く球磨川流域市町村の第三セクター、くま川鉄道(本社・熊本県人吉市)は24日、11月にも部分運行を目指す方針を明らかにした。同鉄道が時期の見通しを示したのは初めて。

 同鉄道と熊本県、流域10市町村でつくる「くま川鉄道再生協議会」で報告した。

 同鉄道は豪雨のため、人吉温泉(人吉市)―湯前(湯前町)間の全線24・8キロのうち、人吉温泉―肥後西村(錦町)間5・9キロで広範囲に土砂が流入し、国登録有形文化財の球磨川第四橋梁(きょうりょう)が流失。保有する全5車両が浸水した。

 同鉄道はこの日の再生協議会で、これまでに修理できた3両を使い、被害の少なかった肥後西村―湯前間での運行再開を11月ごろに目指す方針を報告。バスによる代替輸送は人吉温泉―肥後西村間だけで続ける。

 復旧事業費は46億円前後ともいわれる。再生協議会は同日、国が復旧費の97・5%を支援する「特定大規模災害等鉄道施設災害復旧事業」を活用するにあたり、残る2・5%分の県と10市町村の負担割合を1対1と決めた。市町村間の各負担割合は今後調整する。

 また、自治体側が鉄道施設を保有し、鉄道会社が運行する「上下分離方式」の導入も決定した。上下分離方式は国の支援を得る条件で、線路や道床などの鉄道施設を保有することになる県と10市町村が新法人を構成する。5年前の熊本地震で被災し復旧中の南阿蘇鉄道の場合は、県や自治体が一般社団法人を構成する方向で調整が進んでいる。

 この日の再生協議会は、県庁と各市町村をオンラインで結んで行われた。(村上伸一)

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