瀬戸大橋の島伝いのバス存続へ 琴参バスが路線延長

福家司
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 琴参バス(香川県丸亀市)はJR坂出駅前と与島、櫃石島(いずれも坂出市)間で運行している瀬戸大橋線の路線バスを、4月1日からJR児島駅(岡山県倉敷市)まで延長する。児島駅と与島を結ぶ別のバス会社の路線が3月末で廃止されるのを受け、瀬戸大橋が通る島伝いに走る路線バスを存続させるため、延長を決めたという。

 琴参バスによると、新たな路線は瀬戸大橋の途中にある与島、岩黒島、櫃石島を経由して坂出駅前と児島駅を結ぶ。

 児島駅―与島間を運行している下津井電鉄(岡山市)は昨年8月、新型コロナウイルスの影響で経営が悪化し、維持が困難になったとして、今年3月末で路線を廃止すると発表した。昨年10月からは便数も3往復に半減させている。

 櫃石、岩黒島は児島方面との結びつきが強い。また、両島には島民以外の車の乗り入れが原則できないこともあり、存続を求める声があった。そのため、坂出駅前―与島間に6往復、坂出駅前―櫃石島間に1往復を運行している琴参バスが、下津井電鉄に代わって児島まで運行できないか、香川県や坂出市と協議を重ねてきたという。

 琴参バスは国土交通省岡山運輸支局に路線の延長を申請中で、近く認可される見通し。国や香川、岡山両県、坂出、倉敷両市から補助金を受けて運行する。

 運行本数は1日5往復(土日祝日、年末年始は1往復減)。このうち2往復は車両にマイクロバスを使い、岩黒島内(岩黒集会所)に乗り入れる。児島―坂出間の運賃は、琴参バス、下津井電鉄を与島で乗り換える現在に比べ、190円安い750円となる。

 櫃石島に住む西原誉さん(81)は「われわれ年寄りが島を出る手段はバスしかない。運賃が安いので買い物は坂出より児島に行く。4月からも存続するのは助かる」と話している。

 琴参バスの池内丈史・業務企画課次長は「年々利用者が減っており、路線を延長するのは厳しいが、地域の公共交通機関を維持し、島民の足を守るため決断した」と話している。

 琴参バスは、瀬戸大橋の開業時から坂出―児島間で路線バスを運行してきたが、2005年5月に児島への乗り入れを休止した。以降は主に坂出―与島間は琴参バス、与島―児島間は下津井電鉄と運行区間を分担する形になっていた。

 琴参バスの路線延長により、本州と四国を結ぶ連絡橋3ルートで唯一、本四間を直通する路線バス(高速バスを除く)が約16年ぶりに復活することになる。(福家司)

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