全ての列車が通過する県境の秘境駅 111年で廃止に

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飯島啓史
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 全ての列車が通過する「秘境駅」として知られるJR奥羽線の赤岩駅(福島市)が13日のダイヤ改定で廃止された。かつては山間部の集落の玄関口だったが、周辺の過疎化によって111年の歴史に幕を閉じる。

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 赤岩駅を見に向かった。JR福島駅から西へ車で50分。対向車とすれ違えないほど狭い、山形県との県境の山道を進むと、小さな集落に着く。その先は車を降りて、林道を約20分歩く。川沿いに山形新幹線も走る線路が見え、脇にはJR東日本の変電設備がある。林道の先に赤岩駅があるが、立ち入り禁止のロープが張られ、ホームなどを見ることはできない。

 JR東日本などによると、駅は1910年10月に開業。終戦直後に山林を開拓した大平(おおだいら)集落の近くにあり、住民らが収穫したコメや牧場で搾った牛乳を福島市の中心部まで列車で運んでいたという。近くの別の集落に住む油井定信さん(77)は「子どものころは大平集落には何百人も住み、電車で中学や勤め先に通っていた」と話す。

 赤岩駅と連続する三つの駅は急勾配の難所にあり、山形新幹線の開業を控えた90年までは山肌を縫うように敷かれた線路を列車が前進と後進を繰り返して上っていく「スイッチバック」をしていた。特に4駅連続のスイッチバックは珍しく、鉄道ファンに人気だったという。

 しかし、時代とともに大平集…

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