コロナ禍で赤字8.5億円 高知のとさでん交通が改善策

清野貴幸
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 路線バスや路面電車を運行する高知市のとさでん交通が、2020年度の業績について売り上げが前年度より半減し、約8億5千万円の赤字を見込んでいることが分かった。新型コロナウイルスで移動が制限された影響が大きく、現状では21年度も赤字になることが避けられないとしている。

 5日に同社で開かれた中央地域公共交通改善協議会で報告した。協議会は同社に出資する沿線自治体や学識経験者、利用者代表らで構成し、施策の検証や協議を通じて県中央地域の公共交通のあり方を模索する。

 とさでん交通によると、20年度は全部門が赤字となる「壊滅的打撃」(担当者)を受ける見通し。1月下旬時点の決算予想で売上高は26億4400万円と19年度の49%にとどまり、純損益はマイナス8億5300万円を見込む。経常損益は19年度の約4倍のマイナス約20億円。コロナによる運行休止などにより、従来は公共交通の赤字分を補塡(ほてん)してきた高速バスや貸し切りバスも億単位の損失を計上する見通しという。

 同社は14年10月の発足直後の15年度以降、自治体による路線バスへの補助金も活用してほぼ毎年黒字を維持してきた。20年2月まではコロナの影響をほとんど受けなかったが、3月だけで約1億5千万円の赤字を出した。その後も臨時休校よさこい祭りの中止などで路線バスや路面電車の乗客数は回復しなかった。

 とさでん交通は収支改善策として、20年度に資本金を5億円から1億円に減資したことや電車のダイヤ改定を実施したことを報告、21年度には人件費の圧縮やバスの車両更新で中古車の購入に取り組むと説明した。出席者からは「今後、運賃の値上げを検討する必要があるのではないか」「路面電車のダイヤ改定で使いづらくなった。失った収入の方が上回ったのではないか」などの質問や意見が出された。(清野貴幸)

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