「同じ土俵で議論できる」 国の有識者会議

和田翔太
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 【静岡】リニア中央新幹線の国の有識者会議が28日、国土交通省で開かれた。山梨県境付近のトンネル工事で湧水(ゆうすい)が県外に流出する問題が主に議論され、JR東海からはトンネル掘削に伴うリスクとその対策案が初めて示された。難波喬司副知事は「ようやく同じ土俵で議論ができる」と評価した。

 トンネル工事の影響やリスク対応は静岡県側が求めてきた課題の一つ。JR東海はトンネル掘削に伴って生じる可能性のある突発湧水など18のリスクを提示。影響度と発生確率をそれぞれ3段階で評価し、それを掛け合わせて「リスクの重要度」として取りまとめ、対策案を示した。

 JR東海はこれまで、県境付近の断層帯の掘削では、突発湧水が発生する可能性があることから、工事の安全確保のため山梨県側から上り勾配で掘ることを主張してきた。県外への水の流出を回避するため県の専門部会などでは「静岡県側から掘削しても対処できるのでは」という疑問の声もあった。

 JR東海は今回、静岡県の提案を踏まえた複数の工法についての評価結果を示したが、いずれも安全性の観点などから静岡県側からの掘削は難しいことが示された。一方で、高速長尺先進ボーリングでの揚水などによる流出量の軽減策など二つの方法も新たに示された。

 JR東海は降水量の季節変動を考慮した河川流量の試算結果も公表。前回の予測結果と同様、トンネル工事で出る湧水を大井川に戻せば「河川流量は維持される」ことが確認された。

 難波副知事は「細かい指摘はあるが(工事により)どんなリスクがあるのか明確に示されたことは評価できる」と話した。(和田翔太)

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