LRT事業費 2年前から600億超を想定

中村尚徳
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 【栃木】JR宇都宮駅東側で整備が進む次世代型路面電車(LRT)事業費が公表額より約226億円膨らんだ問題で、宇都宮市が少なくとも2年前から約200億円近くの事業費超過を試算していた疑いがあることが、朝日新聞の取材でわかった。市は昨年11月以降に精査し直したと説明していた。2年前の試算について市幹部は「検討はしたかもしれないが、市が公認した数字ではない」としている。

 市は2014年度の積算を元に市内区間(約12キロ)を412億円と算定。駅東側区間(14・6キロ)の事業費は総額458億円と説明してきた。しかし、1月25日、市は一転して191億円の増額を公表。栃木県芳賀町も町内区間(約2・5キロ)の35億円の増額を明らかにした。事業全体の総額は684億円となり、約1・5倍に膨らむ見込みとなっている。

 市は増額の要因として「工事着手時の地質調査の結果、軟弱地盤への対応や地盤改良が必要になった」「当初は予定していなかったが、電力ケーブルなど地下埋設物を移設しなければならなくなった」などを挙げ、想定外の要因が重なったと市議会や記者会見で説明した。初めて経験する事業で工事の種類が多く、発注段階など事業を進める過程で分かったこともあった、と釈明した。

 しかし、朝日新聞が入手した資料や関係者によると、2018年12月時点でも、例えば「地質調査により軟弱地盤であることが判明。杭基礎、地盤改良の費用を計上」などとして三十数億円の増額を見込んでいた。地下埋設物についても「支障物件の移設費は当初事業費に含まれていない」とし、25億円ほどの増額見直しが必要としていた。

 市によると、増額要因として佐藤栄一市長が1月に説明した鬼怒川の新橋建設に着工したのは18年11月。同市野高谷地区の高架構造物工事に絡む地盤改良は翌19年8月に始めている。工事に入る前には地質調査を終えなければならず、市幹部は、着工時点で軟弱地盤への対応や地盤改良の必要性を認識し、一定の増額を想定していた、と認めた。

 さらに、1月に増額要因として挙げた用地買収面積の増加や車両基地構造の見直し、運賃収受システムの導入なども、事業費を押し上げる要因として2年前に内部で指摘されていた。

 減額の要因としたレール構造の仕様見直しなども2年前の段階で言及されていた。

 駅東側区間は16年度に国から軌道運送高度化実施計画の認定を受け、17年度に工事施工認可を得た後、18年度に着工した。

 18年12月に作成された資料には、同計画や都市計画事業認可などの修正が必要となると記載。さらに、その後の事業費の見通しとして「東京五輪開催に伴う資材や人件費の高騰が懸念される」としたうえで、「用地(買収)や工事の進行に伴い、各工種の内容精査を進め事業費抑制に努める」などと書かれている。

 市幹部は2年前の試算について「現場の担当者は様々な可能性を視野に入れながら事業を進めている。そうした検討はしたかもしれないが、市として公認した数字ではない」としたうえで、「事業の全体像が見渡せる時期になり、しっかり積算したものが出せるという段階で精査し、先月に公表した」と説明した。

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