明治期の客車が高知・佐川へ里帰り 香川から半世紀ぶり

福家司
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 明治時代につくられ、高知県の鉄道を走っていた木造の客車がこの春、保存されているJR四国の多度津工場(香川県多度津町)から半世紀ぶりに高知県佐川町に里帰りする。町では歴史ある町並みと調和する展示施設をつくり、歓迎の準備を進めている。

 この客車は「ロ481号」。多度津工場に立つ旧国鉄の説明板によると、1906(明治39)年、鉄道作業局新橋工場で、いまのグリーン車に当たる2等客車として製造された。

 長さは約8メートル、幅約2・5メートルで、座席定員は24人。客室内は2室に分かれており、中央部分にトイレや洗面所などの設備も備えていた。24(大正13)年から当時の高知線(現・土讃線)の須崎―日下間で活躍していた。

 引退後、宮内大臣などを務めた維新の志士、田中光顕の尽力で出身地の佐川町の博物館「青山文庫」に当時の鉄道省から寄贈され、33(昭和8)年から列車閲覧室として活用された。

 戦争を挟み、長年、町民らに親しまれたが、青山文庫の改築に伴い、68(昭和43)年に解体されて多度津工場に移送された。その後、72年の鉄道100年記念事業として工場で復元され、74年に完成した。地域の鉄道史を伝える「準鉄道記念物」にもなっている。

 今回の里帰りは、佐川町が観光客誘致の目玉のひとつにしたいと、JR四国に要望し、実現した。

 町によると、商家や酒蔵など江戸時代の伝統家屋が残り、近年観光客にも人気の上町地区で展示するため、町並みと調和する保存施設を建設中という。3月上旬にも客車が多度津から移送され、4月のオープンを目指している。

 町チーム佐川推進課の担当者は「客車が里帰りすれば、さらなるにぎわいにつながる」と期待している。(福家司)

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