被爆電車にオンライン乗車 300キロ離れて学ぶ平和

宮崎園子 伊藤誠
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 原爆で被害を受けながら、修復され今も広島の街を現役で走る広島電鉄の路面電車に、奈良県生駒市の市立あすか野小6年の児童157人が16日午前、オンラインで「乗車」した。

 1945年8月6日に広島の爆心地から700メートルの地点を走行中に原爆に遭った「被爆電車」651号が広島市中心部を約50分走行する間、広電社員が車内に置いたスマートフォンの前で被爆電車の歴史を説明したり、車窓から見える原爆ドームなどの風景を撮影したりして中継した。

 一方、約300キロ離れた同小では、児童たちが五つの教室に分かれて自席に座り、それぞれにノートパソコンでその様子に見入った。移り変わる車窓の風景に、「ライブや」「すごい、本格的」と喜んでいた。

 同小は毎年9月に修学旅行で広島を訪れてきたが、今年度はコロナ禍で断念。修学旅行は昨年10月、行き先を東海地方に変えて済ませたが、ICT(情報通信技術)を活用したキャリア教育の一環として平和教育も兼ねた「オンライン修学旅行」に初めて取り組むことにした。児童たちはこの日のために、1日乗車券を作ったり、切符を切る改札鋏(きょう)や乗務員の制服を広電から貸してもらったりして準備を進めてきた。

 コロナ禍以前は毎年、広島県内外の20校近くの小中学校から被爆電車の車庫内見学を受け入れてきた広電にとっても初の試み。担当者は「今後の発信のあり方を考えていくいい機会になった。オンラインなら定員以上に多くの方に体験してもらえる」と話す。

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