宇都宮市が新年度予算案を発表 過去最大の2290億円

中村尚徳
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 【栃木】宇都宮市は15日、2021年度当初予算案を発表した。1月に大幅な事業費の増額を明らかにした次世代型路面電車(LRT)整備や新型コロナウイルス対策などが歳出を大幅に押し上げた。一般会計は前年度より7・5%、160億円増えて、過去最大の2290億円となった。

 LRT整備費を巡り、市は1月25日、従来の総額412億円から191億円超の603億円に膨らむ見通しを公表した。これに伴いLRT整備費として来年度は前年度より約71億円増の約198億円を計上。これまでの最高額だった18年度の約145億円を大幅に上回った。来年度の事業費には整備を検討する駅西側区間の事業化推進のための経費も含まれている。

 市はLRTを将来の公共交通や町づくりの根幹とする「ネットワーク型コンパクトシティー構想」を掲げている。来年度予算案にも、構想推進のために関連経費を盛り込んだ。

 駅東側の沿線まちづくり策の検討や平出町トランジットセンター周辺整備に向けた用地測量などに約2億4千万円、駅西側検討区間の沿線まちづくりに約5千万円、駅西口周辺地区整備の基本計画策定などに約1億8千万円をあて、取り組むとしている。

 新型コロナウイルス対策は総額128億円余。ワクチン接種やPCR検査センター運営、感染拡大による深刻な影響を受けている中小企業への資金支援、生活困窮者の自立支援、住居確保給付金支給、就学援助などを挙げている。

 歳入では、新型コロナウイルス禍の影響で法人・個人市民税ともに低迷するとして、市税収入は前年度より8・3%減の約847億円を見込んだ。市税の減収などに伴い、自主財源比率は53・6%。同市が目標とする70%以上を大きく割り込み、過去最低となった。

 減収は繰入金の増額のほか、国庫支出や市債などの依存財源で補う。臨時財政対策債など市債は前年度比48・7%増の約239億円、国庫支出金は17・6%増の約482億円となっている。

 記者会見で佐藤栄一市長は「コロナでここまで税収が落ち込んだが、いざというときに財政を動かせるようにしてきた。コロナ後は(税収が)回復できるよう、財政もさらに健全化・安定化できるように努めていきたい」と話した。(中村尚徳)

主な新規事業

・結婚に伴う住宅・引っ越し費用助成(1億2千万円)

・就学援助世帯のオンライン家庭学習への通信費支援(2495万円)

・ひとり親家庭の養育費確保へ公正証書作成支援など(480万円)

・障害者就労体験と重度障害者の就労時の介助などへの支援(999万円)

グループホームや短期入所施設への体験的宿泊支援事業(18万円)

・被災情報を一元管理する被災者台帳管理システム導入(648万円)

・災害時要援護者の避難支援への補償制度導入(40万円)

・河川構造物長寿命化計画の策定(1千万円)

・内水ハザードマップ作成・配布(917万円)

・市指定民俗文化財収蔵庫新設への助成(400万円)

宇都宮ブリッツェン活動拠点整備支援(1500万円)

・農業経営の継承・発展の取り組みへの支援(100万円)

・荒廃農地の未然防止へ「農地の守り手・支え手」支援など(750万円)

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