費用負担割合、13年越しの決着 試算は当初の4倍

横山輝 福井万穂
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 九州新幹線西九州ルート(長崎新幹線)の並行在来線の維持管理費の負担割合をめぐる長崎県佐賀県の「対立」が決着した。年間費用は結局、当初の4倍規模に。最初の合意から13年を経て、両県は4月、維持管理のための一般社団法人「佐賀・長崎鉄道管理センター」を佐賀県鹿島市に発足させる予定だ。

 最初の試算は2008年。近隣の鉄道会社・松浦鉄道の基準をもとに年間の維持管理費を2億3千万円とはじき、負担割合は「長崎2、佐賀1」で合意。当時の金子原二郎知事はこれを「長崎県の誠意」と表現した。

 だがその後、実際に車両を運行するJR九州の基準で試算をやり直すことに。高度な通信指令システムや、高騰した資材の費用が加わり、19年の試算で年間6億6千万円に膨れ上がった。中村法道知事の「新たな合意が必要」との発言はこのタイミングだった。

 さらに、並行在来線の維持管理のために両県が設立する一般財団法人の運営費1億6千万円や、設備投資のための1億円が加わり、総額は年間9億2千万円規模になる見通しだ。

 長崎県の担当者は「今回の合意の内容は、膨らんだ分の費用を事務的に精査した結果。どちらの負担が多いとか、少ないとかいうことではない」と説明。一方、12日に取材に応じた佐賀県の南里隆・地域交流部長は「負担割合はもともと合意があったもの。長崎県に『譲られた』という意識はない。(整備方式が決まっていない)新鳥栖―武雄温泉間の議論とは、全く別の問題だ」と話した。(横山輝、福井万穂)

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