リニア有識者会議 県外流出について説明

矢吹孝文
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 【静岡】リニア中央新幹線の静岡工区をめぐって水や環境の問題を話し合う国土交通省の有識者会議は7日、8回目の会合を国交省で開いた。この日は、最も関心が高いテーマの一つである山梨県境付近のトンネル工事でわき水が県外に流出する問題について議論された。

 JR東海は、断層がある県境付近は水を通しやすい地質で「大井川に水を戻せない期間がある」としてきた。この日の説明では、水が流出する時期を「掘削開始後6~7年目」とし、その期間は約10カ月間だと明かした。

 水量については、JR東海が用意したデータによる試算では10カ月間に約300万トン、静岡市のデータを使った解析では約500万トンの水が山梨県側に流れるとした。その上でJR東海は、他の地点でのトンネル工事で出るわき水を大井川に戻すため「河川流量は維持される」と解説した。

 試算は年間の平均降水量などが元になっている。そのため委員から「同じ量の雨が毎日降るわけでなく、現実的ではない」「渇水期に何が起こるのかを示して」といった指摘があったものの、福岡捷二座長は会議後に「(地下水を戻す地点の)椹島(さわらじま)より下流側では河川流量が維持される」とのコメントを発表した。

 一方で静岡県の難波喬司副知事は会見で、この日の議論を「重大な問題がある」と反論した。JR東海の「水は減らない」との説明に対し、「地下水をくみ上げて大井川に戻すので椹島では流量が増えるが、その分、地下水から川に出る水は減る」と主張。「県外に水が出ても大井川の水は増える、といううまい話はない」と述べ、「こういう説明をする限り、解析結果や説明に信頼が置けるとは思えない」とJR東海の姿勢を批判した。(矢吹孝文)

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