近江鉄道 2024年度から上限分離方式に

鈴木洋和
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 【滋賀】赤字が続く近江鉄道(本社・彦根市)の存続に向けた対応策を話し合う法定協議会の「近江鉄道沿線地域公共交通再生協議会」(会長=三日月大造知事)が17日、東近江市で開かれた。新たな運営形態について、列車の運行は鉄道会社、線路などの維持管理は自治体が担う「上下分離方式」にすることを決めた。

 近江鉄道は米原市甲賀市などを結ぶ全長60キロで、湖東地域の住民の足となっている。ただ、赤字が続き、自力運営が難しいため、県、沿線10市町、学識経験者らで構成する法定協議会が今後の運営方法について議論している。3月には全線存続を決定した。

 17日の協議会では、そのために必要な形態や自治体ごとのお金の負担割合が話し合われた。形態としては、近江鉄道が所有している線路や駅を自治体が所有し、近江鉄道は列車の運行に専念する「上下分離方式」にすることを決めた。

 県の担当者が「役割分担で責任が明確になり、持続的な運行体制をつくることができる」と説明。異論はなく、2024年度から上下分離方式に移行することになった。移行に伴う自治体の財政負担は22年度から始まる。最初の2年間は、枕木の交換や線路の更新など、設備投資や修繕費が年間6億4千万円ほどと見込まれている。

 協議会では、県がそのうち半分を負担し、残り半分を10市町で分担することで合意。10市町の負担割合については、各市町内にある駅の数や営業距離、利用者数をもとにした案が示された。しかし、米原市が反対したため、決定は次回以降に持ち越された。

 協議会終了後、報道陣の取材に対し、米原市の平尾道雄市長は「市内の近江鉄道の線路は2・1キロあり、うち1・8キロは過去の区画整理事業で(市が)新しくしている。10市町の負担割合は営業距離ではなく、今後修繕が必要な距離に応じて決めるべきだ。合理的な理由に基づいた負担割合でなければ市民に説明できない」と話した。

 三日月知事は「改めて米原市の意見をうかがい、どういう案にすれば良いのかを考えたい」と報道陣に述べた。(鈴木洋和)

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