観光アプリ 阿蘇のよかとこ網羅 熊本県立大生が開発
JR豊肥線や国道57号開通など、熊本地震からの復興が進む熊本・阿蘇地域を更に盛り上げようと、熊本県立大学の学生が同県阿蘇市公認の観光アプリを開発した。
アプリの名前は「asoasobi(あそあそび)」。同市初の観光アプリとなる。「食べる」「遊ぶ・買う」といった行動やエリアを選ぶことで、観光地の情報が得られる。飲食店などの情報は、学生が一から取材して、営業時間などの基本情報から店主の声まで網羅した。カメラ機能もついて、現地で撮影した写真を位置情報付きでSNSに投稿できる。
開発したのは県立大総合管理学部の3年生5人。知能情報学の飯村伊智郎教授のゼミに所属している。
きっかけは阿蘇出身のメンバーが新聞報道を見たことだった。記事の調査では、県外での阿蘇の認知度が9割を超えるのに対し、観光のイメージは「ない」や、「阿蘇山」「火山」といった漠然としたものばかりが挙がっていた。2016年の熊本地震後、客足が戻っていないのも気になった。阿蘇の具体的な観光地を発信する必要性を感じ、アプリ開発を決めた。
プログラミングの知識がない状態からのスタート。デザインや機能は自分たちで一から考えた。他の学生の意見を参考に、デザインを途中ですべて変えたことも。阿蘇市と協力し、職員の意見も取り入れて使いやすくした。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、集まったり、現地で取材したりといった作業が難しくなったときもあった。それでも約1年で作り上げ、10月の国道57号復旧にあわせてアプリをリリースした。
メンバーの1人、後藤雅弥さん(21)は、「使う前と後で、阿蘇のイメージの幅が広がったという声も寄せられた。色々な魅力を伝えたい」と話す。阿蘇市の職員は「知られていないお店も掲載されている。そういった所にも目を向けてもらえると思う」と期待を寄せる。
アプリのユーザーは現在、約200人。イベントを通じて増やしていくのが今後の目標だ。
豊肥線や国道57号の復旧記念の企画の一つとして、阿蘇市と協力したフォトコンテストを開催中。アプリで撮影した写真をSNSに投稿することで、食事券などがあたる。来年1月末まで開催している。