一夜で線路160メートルを移設 JR青梅線牛浜駅

佐藤純
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 JR東日本八王子支社は28日夜から29日朝にかけて、東京都福生市の青梅線牛浜駅のホーム延伸に向けて、線路を160メートルにわたって最大60センチ動かす工事をした。2003年、支社管内の中央線三鷹―国分寺間の線路切り替え工事で、上下線が8時間近く運休。18万人が影響を受けるトラブルがあっただけに、入念に準備して臨んだ。

 今回の工事は、23年度末に中央快速線などにグリーン車2両を連結して走り始めるのに備え、直通運転する青梅線を含めてホームを延伸する一環。牛浜駅ではホームを下りの奥多摩方面に30メートル延ばし、下り側の一部を拡幅する必要がある。このため、下りの線路を南側にずらしたという。

 作業は28日午後9時すぎに始まった。160メートルを7区間に分け、手作業で少しずつ線路を動かしていった。その後、架線の位置を調整したり、車両との間に必要以上のすき間が生じないようホームをせり出させたりする作業をした。作業員約300人を投入した。

 地元の人たちや鉄道ファンらが「こうやって夜中に作業する人たちが鉄道を支えているんだね」などと言いながら見守った。

 03年の高架化に伴う工事が大がかりだったのに比べると、今回は小規模だが、下村直樹支社長は12日の記者会見で、「大失敗を繰り返さない。何とか成功させたい」と強調していた。

 支社によると、03年は配線ミスという工事そのものの問題に加え、社内の情報伝達がうまくいかず、予定を大幅に超えた運行の遅れを利用者にきめ細かく知らせなかったことが混乱に拍車をかけた。こうした反省を踏まえ、今回は社内の態勢を強化して現場との連絡を密にし、トラブル発生時にスムーズに情報発信できるよう準備した。全体のリハーサルも重ねたという。幸い、大きな混乱なく工事を終えた。

 支社管内で運休を伴う工事は13年の南武線高架化工事以来。JR東日本は28日夜~29日朝、拝島―青梅間のすべての列車を運休にし、バスで代行輸送した。(佐藤純)

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