残土置き場に難 県議らリニアで長野を視察

阿久沢悦子
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 静岡県議会会派「ふじのくに県民クラブ」が24日、県庁でリニア中央新幹線の工事が進む長野県大鹿村の視察報告会を開いた。長野県内でも工事は遅れているといい、残土処理などに課題が見えたという。

 同会派所属の県議13人が10月20日に現地に出向いた。大鹿村のリニア対策室長や村議会副議長らの案内で、トンネル工事で発生する残土の仮置き場がある除山や釜沢、小渋川、青木川の各非常口を視察した。村内ではリニア工事に伴い300万立方メートルの残土の発生が見込まれている。

 佐野愛子県議は小渋川の河原に15、6メートルの高さまで残土が積まれているのを見て驚き、不安を感じたという。「豪雨になって川が増水すれば、土が削られて崩れていくのではないか」

 林の中に残土を固めて積み重ね、表面をコーティングした巨大な構造物もできていた。JR東海は発生した土で村のグラウンドや堤防を造成している。村はインフラ整備を歓迎しているが、今後の維持管理に課題もあるという。

 また有害物質のホウ酸やアスベストを含む残土はトンネル内の仮置き場に置かれたままで、行き先が決まらない状態だったという。

 阿部卓也県議は「JR東海は各地で残土の処理計画を詳細に詰めないまま、着工している。静岡県でも同じことが起きかねない」と警鐘を鳴らした。

 大鹿村でも7月の豪雨で工事用道路や河川に大きな被害が出て、トンネル工事が止まった。村内4カ所の非常口トンネルの工事はどこも計画より1年~2年半遅れているという。小長井由雄県議は「リニアの遅れは静岡県のせいだけではないと改めて確認できた」と話した。

 会派は視察で見えた課題を提言にまとめ、県や国、JR東海に提出したい考えだ。(阿久沢悦子)

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