車両に光触媒コーティング 筑豊電鉄、コロナに効果期待

吉田啓
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 筑豊電気鉄道(福岡県中間市)は、強い殺菌作用があるとされる光触媒の技術を用いたコーティング剤を、保有する全14編成、25車両に塗布する。新型コロナウイルスなどへの効果を期待しているという。

 19日に発表した。九州工業大(北九州戸畑区)や中間市と協力した実証実験で、九工大の横野照尚教授が研究開発した光触媒技術を用いたコーティング剤を使う。紫外線を含まない人工照明の弱い光でも、有害な物質を分解する酸化反応を起こすため、夜間の車両内でも効果が期待できるという。

 中間市では4月、このコーティング剤を市役所のトイレや保健センターの研修室、トイレなど人の出入りが多い場所に塗布する実証実験を開始。ウイルスなどの数の指標になる物質の量を約1カ月後に計測したところ、最も効果が高かった場所では99%の減少が見られた。

 このことを知った筑豊電鉄の永尾亮二社長が「うちにも、ぜひ」と、導入をもちかけた。同社は4~9月の利用者が前年同期に比べて3割ほど減った。10月には回復傾向を見せたが、11月に入り、沿線のイベントの休止が相次いでいることも影響して、再び落ち込みを見せているという。

 永尾社長は「地域で生まれた最新の技術を生かして、車両の安全安心につなげたい。光触媒技術の導入で、お客様に戻っていただけたら」と話した。

 横野教授によると、光触媒コーティング剤はこれまでにホテルや医療施設などに導入され、いずれも殺菌効果がみられるという。筑豊電鉄では、車両の手すりやシートなど不特定多数の人が頻繁に触れる場所に塗布されることから「どのぐらいの頻度でメンテナンスをすれば良いかのデータも得られる」という。実証実験で殺菌への実用性が示されれば「より幅広い場面での活用につながるのでは」と期待する。(吉田啓)

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