町職員が車いすの乗降手助け JR川南駅で「介助」再開

矢鳴秀樹
[PR]

 JR九州の社員がいない川南駅(宮崎県川南町)で、車いす利用者の乗り降りの介助を町職員が行う取り組みが始まった。JR側が社員以外の介助を初めて認めた。駅利用者からは「利便性が高まる」と安堵(あんど)の声があがっている。

 町によると、対応は平日午前9時~午後6時に発着する列車。列車に乗る30分前までに町役場か町観光協会へ連絡すれば職員が駆けつける。

 川南駅は、JRと川南町が契約を結び町観光協会が運営する「簡易委託駅」。これまで町観光協会の職員がホームへの移動や列車に乗り降りする際の介助を「慣習」として手助けしていたが、JRが5月末、「車いす介助は研修を受けた社員のみ」として禁止していた。

 これに対し、川南駅を利用する障害者が「今まで通りにしてほしい」と改善を求め、8千通を超える署名をJRに提出。JRも「自由に乗り降りできるのが最も良いこと」と対応の協議を始めた。

 JR側からもちかけられた町側も、これまで介助してきた経緯を踏まえて介助を続ける意向を示し、JRは講習を受けた人の車いす介助の対応を認めた。

 町によると、10月に公共交通を担当する町建設課の職員10人と観光協会の職員1人が、宮崎駅や南宮崎駅などで講習を受けた。乗せる時は前向き、降りる時は後ろ向きに車いすを操作し、ワンマンの普通列車では目が行き届くよう運転席の後ろ付近に乗せるなど、安全に運行するための知識を学んだという。JRと町は10月末、業務委託契約に「車いすの乗客らの介助」を追加する覚書を交わし、11月9日から業務を始めた。

 町によると、署名を提出した町民に報告すると「乗りやすくなる」と喜んでいたという。今後、介助できる人を駅に置くなど、予約なしで乗り降りできるよう、さらなる利便性の向上を目指すという。

 一方、早朝や夜、土日祝日などは前日までにJRに予約する必要がある。また、宮崎総合鉄道事業部が管轄する日豊線、日南線、宮崎空港線の計63駅で介助できる社員がいるのは宮崎、延岡、都城、日向市、南宮崎、宮崎空港、飫肥の7駅のみ。「対応可」「一部対応可」は24駅しかなく、残る32駅は乗降の介助が受けられない。

 JR宮崎総合鉄道事業部では「他の駅にも社員以外の車いす介助の拡大を検討したい」と話している。

 川南駅での利用予約や問い合わせは町建設課(0983・27・8013)、町観光協会(27・1497)。土日祝日や年末年始の利用はこれまで通り前日までにJR南宮崎駅(0985・52・3052)へ。(矢鳴秀樹)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら