宝塚線事故の車両、研修施設に保存 JR西が遺族に説明

狩野浩平
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 乗客ら107人が死亡、562人が負傷した2005年4月のJR宝塚線(福知山線)脱線事故に関し、JR西日本は7日、遺族や負傷者らを対象にした説明会を兵庫県伊丹市のホテルなどで開いた。長谷川一明社長が出席した97人の被害者に、7両ある事故車両を大阪府吹田市の社員研修センターに新設する施設に一括して保存する計画を説明した。説明会は8日も開かれる。

 説明会は、事故後の安全対策を説明するために毎年開いている。この日は、被害者らから、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2400億円の赤字を見込むJR西の経営状況を心配する声も出た。長谷川社長は説明会後の会見で、「大変厳しい状況ではあるが、安全が根幹であることは揺るぎない。現場には『真価が問われている。力を結集してほしい』と伝えている」と述べた。

 JR西によると、社員研修センターに保存する予定の事故車両は一般公開せず、被害者が希望すれば案内するという。事故で一人娘の中村道子さんを失った藤崎光子さん(80)は取材に対し、「鉄道の安全を社会に広く訴える展示方法にしてほしい」と話した。妻を亡くした男性(70)は「経営難でも安全対策はしっかりしてほしい。そうしないとJRは残らない」と述べた。(狩野浩平)

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