突風予測、新たにAI活用 JR羽越線などで来月から

鵜沼照都
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 JR東日本が庄内平野で運用している気象レーダー(ドップラーレーダー)を使った突風感知と列車運転規制システムに、新たに人工知能(AI)が加わる。突風をもたらす大気中の渦の探知精度が向上するといい、11月1日から運用を始める。

 庄内平野では冬場、局地的な突風が発生することがあり、2005年12月25日に庄内町で特急「いなほ」が脱線し、乗客ら38人が死傷する事故が起きた。

 これを受け、JR東は気象庁気象研究所茨城県つくば市)と共同で、酒田市黒森にドップラーレーダーを設置し、突風を感知するシステム作りを進めてきた。17年12月に実用化し、19年11月からは庄内平野のほぼ全域をカバー。秋田県南部から山形県の日本海側を走る羽越線と、庄内地方の陸羽西線で突風時の運行規制を行ってきた。

 AIの活用は、渦の探知精度を上げるため。従来の方法は、レーダーに対して近づいてくる風と遠ざかっていく風をペアで観測し、そのデータから渦を探知していた。しかし、渦の風速に乱れが多い時などに渦を捉えきれないケースや、誤探知もあったという。

 そこで、気象庁が全国で運用するドップラーレーダーが捉えた渦の画像と、渦ではない画像を学習したAIを活用することで、より正確に渦を捉えられるようにした。進路予測もでき、運転規制の実施に役立てられるという。

 AIを活用した運転規制は、羽越線の今川―羽後本荘間、陸羽西線の余目―清川間で実施される。(鵜沼照都)

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