電車とバス、スマホのパスで乗り放題 南予で実証実験

足立菜摘
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 鉄道やバスなど、複数の交通手段を一括して予約・決済する仕組み「MaaS(マース)」の実証実験が愛媛県の南予地方で始まる。スマートフォンでフリーパスを購入すると、区間内のJRや路線バスに自由に乗り降りできるようになる。キャッシュレスの便利さをPRし、南予地方の観光客を増やす狙いがある。29日から年末まで。

 国土交通省の補助事業として、KDDIやJR四国、南予広域連携観光交流推進協議会などの9団体が実施する。

 今回販売するのは、「南予全域フリーパス」(大人6千円)と「内子・大洲町並散策1日パス」(2840円)の2種類。販売目標は計3千枚で、実証実験の終了後には、利用状況や課題を検証する。

 南予全域パスはJR予讃線松山駅―伊予大洲駅間の往復に加え、伊予大洲駅―宇和島駅と予土線の北宇和島駅―江川崎駅伊予鉄南予バスと宇和島自動車(いずれも一部区間を除く)の路線バスが3日間乗り放題になる。内子・大洲パスは、JR松山駅―伊予大洲駅間が1日乗り放題になる。

 利用者は駅やバス車内に掲示されたステッカーにスマホをかざすことで、購入画面に進むことができる。スマホの決済サービスを利用するため、アプリのダウンロードや新たな情報登録は不要。購入後はパスの画面を見せて乗降する。

 乗り降りすると、ポイントがたまる仕組みもあり、大洲城(大洲市)や伊方町の観光交流施設「佐田岬はなはな」など12施設で使える割引券と交換できる。

 県内では全国共通の交通ICカードが導入されておらず、キャッシュレス化が課題になっている。KDDI経営戦略本部の松野茂樹副本部長は「農業や商業にも恩恵のある周遊促進施策を導入することで関係人口を呼び込み、西日本豪雨からの復興にもつなげたい」と話している。(足立菜摘)

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