5年7カ月かけ、SLの模型完成 四万十のエジソン

笠原雅俊
【動画】「四万十のエジソン」が5年7カ月かけて蒸気機関車「C62」の模型を完成させた=上岡貞夫さん提供、笠原雅俊撮影
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 高知県四万十市のデザイン会社役員・上岡貞夫さん(73)が14日、5年7カ月かけて蒸気機関車「C62」の12分の1の模型を完成させた。60年ほど前に発売された鉄道模型で、膨大な設計図を読み解きながら運転室や車輪、ボイラーなど細部まで精巧に再現した。

 国内最大といわれた通称シロクニ(C62)の模型は全長1・8メートル、重さ約130キロ。黒い車体は鉄と真鍮(しんちゅう)製。石炭をたきながら蒸気圧の力でピストンを動かす仕組みは実物とまったく同じ。子供なら30人を乗せて走るという。

 中学生から模型作りを始め、これまでに完成させたSLの模型は8台目。無線で操縦する飛行機は100機、船は30隻ほど制作した。四万十川で飛ばしたり、走らせたりしてきた。

 50年ほど前にデザイン会社を設立。仕事の合間や休日などに模型作りに没頭してきた。子どものころに土讃線を煙を上げて勢いよく走るSLに乗り、「蒸気機関車を作ってみたい」と憧れたという。

 6年前に埼玉県の知人からこのSL(C62)の精巧なキットを引き継いだ。自身の会長室には、溶接工具や金属を切削加工する旋盤など様々な工作機械がそろう。

 製作はほぼ毎日5~6時間。上岡さんは膨大な設計図を読み解く。数千点に及ぶ部品の一つ一つの役割や動きを理解しながら、ハンダ付けしたり、小さなネジを削ったりして悪戦苦闘の日々が続いた。

 地元で「四万十のエジソン」と呼ばれる上岡さんは「蒸気機関車の専門知識がないと組み立てられない。本当に難しく、納得が出来ず数十回はやり直した。完成できて本当にうれしい」と話す。SLは郷愁を誘う。難しいことに挑戦するのはロマンだという。完成したSLを酒を飲みながら静かに見つめるのが至福の時間だ。(笠原雅俊)

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