リニア建設残土処分場、町長批判 岐阜

戸村登
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 JR東海岐阜県御嵩町の町有地に計画しているリニア中央新幹線の建設残土の処分場について、岐阜県御嵩町の渡辺公夫町長は、JR東海が新たな環境対策を示さないことについて「さらなる安全対策の考えをつまびらかにしてほしい」と批判した。町は5月、JR東海が示した環境対策を拒否し、町有地の売却にも応じていない。

 5日、渡辺町長が朝日新聞などのインタビューに応じた。

 町によると、JR東海は昨年8月、同町美佐野にある町有地を買い取り、トンネル工事で出た残土の恒久処分場を建設する計画を町に示した。町内には重金属を含む地質帯があり、工事で要対策土を掘り出した場合は汚染対策が必要。JR東海は遮水シートで覆うことを提案したが、町はこの提案を5月に拒否した。

 町は、リニア中央新幹線建設促進期成同盟会に参加しているが、1990年代には町内に計画された産業廃棄物処分場をめぐって住民投票が実施されるなど、大きく揺れた。

 渡辺町長は「恒久処分場とは想定外だったが、すべてだめでは通らない」とする一方、「町がたどってきた歴史を知ってもらえれば、恒久処分場という言葉はもう少し慎重に使ったかと思う。遮水シートについても、科学的に当時とは違うという証明が必要」と指摘した。

 JR東海が売却を求めている町有地は7ヘクタールで、売却には町議会の議決が必要。渡辺町長は「安全性をどう上乗せしてくれるのかということだけ。そうしないと、自分たちのつくってきた町と矛盾する」と話し、JR東海にさらなる環境対策を示すよう求めた。

 渡辺町長は、同社から申し出があれば、町議会とともに「会うつもりはある」とした上で、こう述べた。「昨年8月から1年が過ぎた。もうちょっと何か言葉が要るんじゃないか、そういう場が必要じゃないのかと思っている。(JR東海の対応に)ちょっと驚いている」(戸村登)

 JR東海広報部は7日、朝日新聞の取材に対して「当社は御嵩町の事務方と(恒久処分場の計画について)打ち合わせをしている。詳細については協議中のため回答は控える」とのコメントを出した。

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